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【2023年度版】ものづくり補助金のグリーン枠とは?変更点など徹底解説!

ものづくり補助金

日本ではさまざまな技術の発展に伴い、温室効果ガスの排出量が2013年に大幅増加となりました。現在では2013年の排出量と比べると減少していますが、日本政府は引き続きさらなる減少に向けた対策を講じると話しています。

温室効果ガスを削減するための対策はいくつかあげられていますが、その中でも注目されているのがものづくり補助金の申請枠の一つである「グリーン枠」です。

2023年度からはグリーン枠が拡充され、3段階の上限設定で幅広い省エネニーズを取り込む狙いがあるようですが、具体的にどのような内容となっているのでしょうか。

今回の記事では、ものづくり補助金の「グリーン枠」への申請を検討されている事業者に向けて、概要から変更点などを紹介します。

ものづくり補助金(グリーン枠)の概要

ものづくり補助金公式HP:https://portal.monodukuri-hojo.jp/

ものづくり補助金は、令和4年度第2次補正予算分から大きく内容が変更されます。その中の一つとして大きな変更点があったのが「グリーン枠」です。

グリーン枠は、温室効果ガスの排出削減に資する取り組みに応じて、革新的な製品・サービス開発または炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援するために創設された申請枠になります。

上記を簡単に説明すると、環境負荷の少ない革新的なクリーン製品の開発を行っている企業に対し、補助金を通じて支援していくというものです。

そのため、クリーンな環境に向けた「新事業にチャレンジしたい」「生産ラインを増やしたい」などの目的を持つ企業にとってはおすすめの補助金となります。

グリーン枠の拡充内容について

2023年度から申請が可能になるものづくり補助金のグリーン枠は、従来とは内容が大きく変わります。

具体的には温室効果ガスの排出削減に資する革新的なサービスや製品開発を行う事業者を対象に、恩師乙効果ガス排出削減の取組段階に応じた「3段階の支援類型」を創設しています。

3段階の支援類型には「エントリー」「スタンダード」「アドバンス」に分けられています。

エントリ−

エントリーは、3つの段階の中でも最も申請におけるハードルが低い枠です。具体的には下記の要件を満たせば申請することが可能です。(ものづくり補助金における基本要件は省く)

① 事業期間(3〜5年)内に事業場単位での炭素生産性年率平均+1%向上

② エネルギーの種類別に毎月の使用量を整理し、事業所のCO2の年間排出量を把握、事業所の電気、燃料の使用量を用途別に把握

上記がエントリーの枠における要件です。エントリーはGHG排出削減の未実施または初歩的な取り組みでも可能とされているので、申請における難易度は低いと言えるでしょう。

特に環境問題への取り組みに初めて着手する企業などは、エントリーへの申請が最も採択されやすいでしょう。

スタンダード

スタンダードへの申請には、エントリーの要件でもある①と②の要件を満たしており、加えて下記の要件を満たしている事業者が申請できます。

③ 開発に取り組む製品やサービスが、自社のみならず業界や産業全体での温室効果ガス削減に貢献していること

④ 小売電気事業者との契約で一部でも再生可能エネルギーに係る電気メニューを選択

⑤ 自社で太陽光やバイオマスなど再生可能エネルギーでの発電を導入し、グリーン電力証明を購入していること

⑥  J-クレジット制度を活用し、自社での温室効果ガス削減の取り組みを環境価値として売却していること

上記のように、スタンダートとなるとエントリーに比べて要件が増えるため、申請における難易度は高くなります。

アドバンス

アドバンスでは、エントリー、スタンダードの①〜⑥の要件を満たしているのはもちろんのこと、下記要件も満たさなければなりません。

⑦ SBT(Science Based Targets)もしくはRE100に参加

⑧ 省エネ法の事業者クラス分け評価制度において「Sランク」に該当していること

⑨ 省エネルギー診断を受診していること

エントリー・スタンダード・アドバンスの違いは補助額

ものづくり補助金のグリーン枠にあるエントリー・スタンダード・アドバンスの3枠について、大きな違いは補助額にあります。

補助額は下記のとおり、エントリーが一番少なく、アドバンスが一番多くなっています。

エントリー従業員数5人以下:750万円 従業員数6〜20人:1,000万円 従業員数21人以上:1,250万円
スタンダード従業員数5人以下:1,000万円 従業員数6〜20人:1,500万円 従業員数21人以上:2,000万円
アドバンス従業員数5人以下:2,000万円 従業員数6〜20人:3,000万円 従業員数21人以上:4,000万円

ものづくり補助金の対象経費

ものづくり補助金には、対象となる経費が決められています。下記に該当する経費が対象となりますので、参考にしてください。

・機械装置

・システム構築費(リース料を含む)

・専門家経費

・技術導入費

・運搬費

・クラウドサービス利用費

・外注費

・知的財産権等関連経費

・研修費

上記が対象経費となりますが、注意しなければならないのが汎用性のある設備は経費対象外として認められないことです。

具体的には下記に該当するものが経費として認められないことがほとんどです。

・車両

・PC

・事務机

・倉庫等

対象外となる経費を購入してしまった場合、それにかかった費用はすべて実費となりますので、ものづくり補助金に限らずですが対象経費はあらかじめ把握しておくことが大切です。

ものづくり補助金の加点項目について

ものづくり補助金は人気が高いことでも知られており、数多くの事業者が申請手続きを行っています。その中でもグリーン枠については、従来よりも要件が緩和されているものもあるため、より申請数は増えるのではないかと予想されます。

少しでも採択に近づくためのポイントとしては、やはり加点項目を一つでも多く増やしたほうがいいでしょう。

ものづくり補助金には大きく分けると4つの加点項目があります。第14次からの申請を検討されている方は特に大切なので参考にしてみてください。

①成長加点

成長加点とは「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」に与えられる加点項目です。

必要な書類は「経営革新計画承認書」となっており、承認を受けて提出することで加点されます。なお、承認を受けることのメリットはものづくり補助金での加点だけではなく、各種融資制度の優遇や資金調達・販路開拓の支援など幅広く利用できるようになります。

②政策加点

グリーン枠で政策加点を受けるためには、下記項目に該当している必要があります。

・創業、第二創業後間もない事業者(5年以内)

・パートナーシップ構築宣言を行っている事業者

・再生事業者

グリーン枠では上記に該当している事業者が政策加点を受けることができます。

③災害等加点

災害等加点は、「事業継続力強化計画」の認定を受けることで加点を受けられます。

事業継続力強化計画は加点を受けられるだけでなく、策定することで災害時の対応などを明確にできますので、あらゆるリスクから従業員や会社を守ることが可能です。

また、事業継続力強化計画が認定されると税制措置や金融支援など幅広いメリットもあります。

④賃上げ加点

賃上げ加点については、下記いずれかの条件を満たすことで加点を受けられます。

・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする

・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする

上記項目に当てはまる場合、従業員数の規模に応じた加点がもらえます。

ものづくり補助金の申請で注意したいポイントとは?

ものづくり補助金は2023年から大きく変わり、要件緩和などもされているため、新しく申請を検討されている企業も多いでしょう。

しかし、補助金は申請をするだけで受け取れるものではなく、採択されなければ事業に活用できる資金を確保できません。

ここでは、少しでも採択率を上げるために確認しておきたい留意点について紹介します。

電子申請システム操作マニュアルはあらかじめ確認しておく

ものづくり補助金は、郵送で申請するものは一切ありません。原則として電子申請のみとなっているのです。

また、補助金の場合は慣れない電子申請であっても入力漏れや誤りなどが許されません。不備があると不採択となるため、事前に操作マニュアルを確認して入力方法などをマスターしておきましょう。

審査項目に沿った事業計画書の作成をする

事業計画書の策定には、必ず審査項目を確認しながら進めていく必要があります。その理由は審査員が審査項目に沿って審査を行うからです。例えば審査項目とはかけ離れた内容となってしまうと、なかなか採択されるのは難しいと言われています。

そのため、必ず審査項目は熟読し、万が一難しい場合には認定支援機関など外部からの支援を受けると採択されやすくなるでしょう。

外部支援を受けるなら必ず正しい記載を忘れずに

補助金の申請において、認定支援機関や専門家等、外部からの支援を受けることは正式に認められています。逆に外部支援を受けているにも関わらず、虚偽の報告をしてしまうと不採択または採択決定の取り消しとなるのです。

そのため、必ず認定支援機関などの支援を受ける場合には支援者の名称、報酬、契約期間を記載して報告するようにしましょう。

まとめ

今回は2023年度から大きく変更となるものづくり補助金の「グリーン枠」の詳細を解説しました。グリーン枠は、従来であれば要件が厳しくなかなか申請することが難しいのが現状でした。

しかし、2023年度からは3段階の枠に分けられ、エントリー、スタンダード、アドバンスの要件に当てはまる内容で申請ができます。

特にエントリー枠は要件が大幅に緩和されていますので、より多くの企業が申請を行えるようになるでしょう。

ものづくり補助金はグリーン枠だけではなく、その他にもさまざまな変更点がありました。昨年まで要件に当てはまらなかったという方も申請できる可能性がありますので、ぜひ一度詳細をチェックしてみてください。