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IT導入補助金
業務を効率化させるためには、ITツールの導入が必要不可欠です。近年ではIT化が進み、多くの企業で導入されるようになりました。
しかし、ITツールの導入にはまとまった資金が必要です。できる限り負担を抑えた導入方法を検討する方が多いと思いますが、その中でも最もおすすめなのがIT導入補助金の活用です。
今ではITツールの導入のために多くの企業が活用している補助金の一つですが、申請するにあたって「通常枠」と「デジタル化基盤導入枠」があり、どちらを選ぶべきなのか迷う場面もあります。
そこで、今回はIT導入補助金における「通常枠」と「デジタル化基盤導入枠」の違いについて紹介します。2つの違いについて詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
IT導入補助金公式HP:https://www.it-hojo.jp/
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者、個人事業主などを対象にITツールの導入にかかる経費の一部を支援するためのものです。
制度の内容は年々変化しており、2022年からは通常枠に加えてデジタル化基盤導入枠も利用できるようになりました。
申請枠が増えたことによって、これから活用を検討する事業者にとっては「どちらを選ぶのが正しいか」迷うケースも多いでしょう。
どちらを選ぶべきかについては、通常枠とデジタル化基盤導入枠の違いを理解することが大切です。
次の見出しからは2つの違いについて細かく解説しますので参考にしてみてください。
IT導入補助金の通常枠は、中小企業や小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールの経費の一部を支援することで、事業者の業務の効率化、売上アップをサポートするためのものです。
通常枠にはA・Bに分けられていますが、どちらも生産性向上に資するITツールの導入が対象です。
しかし、分けられているのには理由があり、それは補助額や要件など、申請条件で異なる点がいくつかあるからです。
通常枠A・B類型の違いについて、まず1つ目にあげられるのが補助額です。補助額の下限および上限は大きく異なりますので、詳しくは下記の表を参考にしてみてください。
通常枠A類型 | 通常枠B類型 | |
下限額 | 30万円 | 150万円 |
上限額 | 150万円 | 450万円 |
上記の表を比較すると分かるとおり、補助額には大きな違いがあります。補助額だけを見ると、できればB類型を選びたいと考える方が多いでしょう。
しかし、申請要件の違いもあり、B類型の方が少々厳しくなっているのです。
B類型は、通常の申請要件を満たしているのはもちろんのこと、下記の内容における賃上げ要件を満たさなければなりません。
①:事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること
②:事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上に設定すること
③:賃上げをすることについて従業員に表明すること
上記で説明した2つの内容のように、主に通常枠A・B類型では「補助額」と「要件」の違いがあります。
通常枠で対象となるITツールは、大きく分けると業務プロセスに関するツール、オプションに関するツール、付帯サービス等の役務の3つです。
具体的に対象となるITツールの例は下記の表に記載しているので参考にしてみてください。
業務プロセスに関するソフトウェア | オプションに関するソフトウェア | 付帯サービス等の役務 |
・顧客・営業管理ツール ・決済・債権債務管理ツール ・在庫管理ツール ・会計・財務・経営管理ツール等 | ・分析ツール ・汎用ツール ・機能拡張 ・セキュリティツール ・各種データ連携ツール等 | ・導入コンサルティング ・保守サポート等 |
上記は一部の例となりますが、通常枠A・B類型で対象経費となるITツールです。
基本的にはITツールのみが対象となり、例えばパソコンやタブレットなどのハードウェアは対象外となります。
また、IT導入補助金では先程紹介したITツールをA類型では1つ以上、B類型では4つ以上選ぶ必要があります。業務に必要なソフトウェアを導入したうえで申請をしましょう。
IT導入補助金には、通常枠のほかにデジタル化基盤導入枠があります。デジタル化基盤導入枠は、インボイス制度を見据えた企業間取引のデジタル化が支援の目的となっており、その取り組みを実施する中小企業等に対して経費の一部を補助してくれる制度です。
追記:12月7日
12月6日にIT導入補助金に関する最新情報が更新されました。
デジタル型基盤枠は廃止され、複数社連携IT導入枠・インボイス枠が新設されるとのことです。
変更に伴い、ECサイトがIT導入補助金の補助対象外となる可能性が高くなっております。
現時点ではECサイトが補助対象外になると明言はされていませんが、新制度の補助対象への記載がないため、2024年度からは対象外になると想定されます。
デジタル化基盤導入枠には、通常枠のように2種類の類型が存在しています。具体的には複数社連携IT導入類型と呼ばれており、大きく異なる点としては申請要件です。
そもそも複数社連携IT導入類型は、単独で申請することはできず、10者以上が連携して申請しなければならないという要件があります。
大きく分けると違いとしては単独で申請するか、複数で申請するかの違いなので、単独での申請を検討している事業者は通常のデジタル化基盤導入枠への申請で問題ありません。
通常枠とデジタル化基盤導入枠の大きな違いとしてあげられるのが対象経費です。通常枠ではソフトウェアの導入にかかる経費を補助してもらえる内容となっていますが、デジタル化基盤導入枠はソフトウェアに加えてハードウェアの導入も対象経費として認められます。
つまり、PCやタブレット、プリンターなどの導入も行うことが可能になるのです。ハードウェアの導入が認められるため、IT導入補助金の中でも人気を集めている申請枠となります。
具体的な対象経費の例としては、下記の表にも記載していますので参考にしてみてください。
業務プロセスに関するソフトウェア | オプションに関するソフトウェア | 付帯サービス等の役務 | ハードウェア |
・顧客・営業管理ツール ・決済・債権債務管理ツール ・在庫管理ツール ・会計・財務・経営管理ツール等 | ・分析ツール ・汎用ツール ・機能拡張 ・セキュリティツール ・各種データ連携ツール等 | ・導入コンサルティング ・保守サポート等 | ・PC ・タブレット ・プリンター ・スキャナー ・POSレジ ・モバイルPOSレジ ・券売機 |
上記の表のようにハードウェアが認められますが、他の補助金をチェックしてもハードウェアが経費として認められるケースは少ないです。
IT導入補助金は今後も継続されることが決定しているので、ハードウェアの導入に使える補助金を探している企業は、IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠への申請を検討してみてください。
デジタル化基盤導入枠への申請は、基本的に通常枠の要件とそれほど大きく変わることはありません。
ただし、通常枠の要件としてあげられる「生産性向上に係る情報については求めない」こととなっています。
また、その他にも下記3つの項目が通常枠の要件とは異なり、満たしている場合のみ申請ができるので参考にしてみてください。
①:ITツールは会計・受発注・決済・EC機能を持つものを必ず1種類以上導入しなければなりません。
②:オプション、役務、ハードウェアの導入にかかるそれぞれの経費も併せて対象経費として申請するには、①の要件を満たしていることが条件。また交付申請にあたりソフトウェアの導入は必須です。
③:ハードウェアを導入する場合には、そのハードウェアがソフトウェアの使用に資するものでなければなりません。基本的に補助事業以外の別の目的で使用することは認められていないため、注意が必要です。
上記①〜③のように、通常枠の要件の他に満たさなければならない内容があります。しかし、それほど厳しい条件ではないため、事業に活用できるソフトウェアからハードウェアの導入まで一つにまとめて行いたいならIT導入補助金のデジタル化基盤導入枠がおすすめです。
IT導入補助金を申請するにあたって、注意したいことが2つあります。
IT導入補助金は、単独でツールを選定して申請することはできません。IT導入支援事業者が存在しますので、協力しあって自社の生産性向上に必要で最適なITツールを選定しましょう。
IT導入補助金の申請をするにあたって、条件の一つとなっているのがSECURITY ACTIONの宣言です。
SECURITY ACTIONは、簡単に説明すると情報セキュリティ対策への取り組みを行うことを自己宣言するためのものです。
これらの2つの項目は必須条件となっているので、これから申請を検討している事業者は必ず守るようにしましょう。
IT導入補助金の2022年度の交付申請の最終締切は下記のとおりとなっています。
・通常枠(A・B類型)
2022年12月22日(木)17:00(予定)
・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
2023年2月16日(木)17:00(予定)
すでに通常枠については締切が終了していますが、デジタル化基盤導入枠については2023年2月16日が最終締切です。
それ以降のスケジュールは現在発表されていないため、ソフトウェアとハードウェアの導入を検討されている事業者は今がチャンスです。締切までもまだ間に合いますので、まだ申請されていない事業者はぜひこの機会に検討してみてください。
今回はITツールの導入に活用できるIT導入補助金について紹介しました。
IT導入補助金には通常枠のほか、デジタル化基盤導入枠もあり、それぞれ要件や対象経費が異なります。
どちらを申請すべきか迷っている方は、ソフトウェアなら通常枠を選び、ソフトウェアとハードウェアのどちらも導入したいならデジタル化基盤導入枠を選ぶといいでしょう。
ITツールは企業規模で導入しようとするとまとまった資金が必要になるため、少しでも負担を抑えたいならIT導入補助金の利用がおすすめです。