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事業再構築補助金
事業再構築補助金は、令和4年12月2日の令和4年度第2次補正予算が成立し、2023年からも引き続き継続されることが決まりました。
現在では第9回公募が始まっていますが、注意しなければならないのが第10回公募からです。
令和4年度第2次補正予算の内容の反映については、第10回から開始されることが予定されており、内容も大幅な変更があります。
今回は、第10回からの大幅に変更される内容について紹介するので、2023年から事業再構築補助金の活用について検討されている事業者はぜひ参考にしてみてください。
事業再構築補助金公式HP:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/
事業再構築補助金は現在第9回公募受付が開始しています。第9回までは大幅な変更点というのはありません。しかし、第10回からは第9回以前に比べて枠組みが大きく変更される形となるのです。
具体的に変更される点の一つとしては、今までの申請枠がいくつか廃止され、新たに3つの枠が新設されます。
大きく変更されることで事業への影響が出るのではないかと心配される方も多いですが、第10回からの変更点は以前よりも緩和される部分が多く、使い勝手がよくなると予想されています。
第10回から始まる事業再構築補助金の細かな内容を説明する前に、全体像として第9回と第10回の詳細を表で掲載しているので、どこが変更されるのか比較してみてください。
類型 | 補助上限 | 補助率 |
最低賃金枠 | 1,500万円 | 3/4 |
物価高騰対策・回復再生応援枠 | 3,000万円 | 2/3(一部3/4) |
産業構造転換枠 | 7,000万円 | 2/3 |
成長枠 | 7,000万円 | 1/2(大規模賃上げを満たしている場合は2/3) |
グリーン成長枠(エントリー、スタンダードの追加) | 8,000万円〜1.5億円 | 1/2(大規模賃上げを満たしている場合は2/3) |
サプライチェーン強靭化枠 | 5億円 | 1/2 |
上記の表のように、第10回以降は新たに「成長枠」「産業構造転換枠」「サプライチェーン強靭化枠」が新たに新枠として加わります。
枠組みとしては第9回以前と比べると大きく変更されていますので、第10回への申請を検討している事業者は注意しなければなりません。
類型 | 補助上限 | 補助率 |
通常枠 | 8,000万円 | 2/3(6,000万円を超える部分は1/2) |
最低賃金枠 | 1,500万円 | 3/4 |
大規模賃金引上枠 | 1億円 | 2/3(6,000万円を超える部分は1/2) |
回復・再生応援枠 | 1,500万円 | 3/4 |
緊急対策枠 | 4,000万円 | 3/4(一部2/3) |
グリーン成長枠 | 1億〜1.5億円 | 1/2 |
第9回までは、上記の表のような枠組みで進められていました。第10回からの枠組みを見ても分かるとおり、大きく変更されています。
次の見出しからは具体的に第9回以前と第10回以降の変更点について紹介するので、第10回以降の申請を検討されている事業者は、事前に確認しておきましょう。
ここからは第10回から変更される内容について、第9回以前と比較しながら紹介していきます。
2023年度の第10回からは、事業再構築補助金の申請枠が大きく変更されます。具体的に2022年までと2023年からの申請枠について見比べてみましょう。
2022年までの申請枠 | 2023年第10回からの申請枠 |
・緊急対策枠 ・回復・再生応援枠 ・最低賃金枠 ・通常枠 ・大規模賃金引上枠 ・グリーン成長枠 | ・緊急対策枠 ・回復・再生応援枠 ・最低賃金枠 ・成長枠 ・産業構造転換枠 ・サプライチェーン強靭化枠 ・グリーン成長枠 |
上記が2022年と2023年第10回を比較した申請枠です。見比べてみても分かるとおり、従来とは大きく変更されました。
特に赤字の部分が大きな変更点となり、その中でも「産業構造転換枠」と「サプライチェーン強靭化枠」は新たに設けられた申請枠です。
グリーン成長枠は従来と名称の変更はありませんが、要件が緩和されたため従来よりも使い勝手が良くなっています。
成長枠は、2022年までの通常枠と同じです。しかし、成長枠は名前の変更に伴い大幅な内容変更があります。
次の見出しからは実際にどのような点が変更されたのか詳しく紹介するので参考にしてみてください。
通常枠は、2023年から「成長枠」の名称に変更となります。名前の変更に伴い、補助額と補助率について下記のように変わります。
補助額(2022年通常枠) | 補助額(2023年成長枠) |
・2,000万円 ・4,000万円 ・6,000万円 ・8,000万円 | ・2,000万円 ・4,000万円 ・5,000万円 ・7,000万円 |
上記が比較した補助額ですが、通常枠と比較すると大きく減少しています。最大で8,000万円受け取れていた補助額が7,000万円までに減少したので、この変更点は改悪点とも言えるでしょう。
次に補助率についてです。
補助率(2022年通常枠) | 補助率(2023年成長枠) |
・中小:2/3 ・中堅:1/2 | ・中小:1/2 ・中堅:1/3 |
上記を比較してみても分かるとおり、補助率についても2022年までの方が良かったように思えます。
ここまでが主な改悪点ですが、実はもう一つ変更されるポイントがあります。
それが「売上高減少要件なし」です。2022年まで売上減少要件があり、基本的には売上が下がっていないと利用できませんでした。
しかし、2023年からはこれらの要件が撤廃となり、ほとんどの中小企業、中堅企業が利用できるようになったのです。
2022年までの売上減少要件 | 2023年第10回からの売上減少要件 |
2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高がコロナ以前の同月の合計売上高と比較して10%以上減少していること | 売上減少要件の撤廃 |
そのため、今まで利用したくてもできなかった企業も、第10回からは申請することが可能になります。
グリーン成長枠については、従来の要件のままのものと、要件が緩和される新枠が登場します。
グリーン成長枠はスタンダードとエントリーという類型に分けられ、スタンダードは従来の要件のままです。
エントリーについては、従来の要件よりも緩和されますので、今まで利用できなかった企業でも申請しやすくなるでしょう。具体的には下記のように要件緩和がされています。
2022年までの要件 | 2023年エントリー枠の要件 |
①:補助事業終了後の3〜5年で付加価値額の年率5.0%以上増加または従業員一人あたり付加価値額の年率平均5.0%以上の増加達成を見込む事業計画を策定すること ②:グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みであり、2年以上の研究開発や技術開発または従業員の10%以上が年間20時間以上の人材育成を合わせて行うこと | ①:付加価値額の年率平均4.0%以上増加 ②:1年以上の研究開発や技術開発または従業員の5%以上 ③:事業終了後、3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること |
上記のように、エントリー枠での申請をすることで従来よりも要件が緩和されます。
また、要件が変わるエントリー枠では補助額も2022年までと比べて低くなります。具体的には2022年までが中小企業1億円、中堅企業1.5億円の上限として設定されていたものが、2023年第10回からは中小企業8,000万円、中堅企業1億円までとなります。
スタンダードについては補助上限額の変更はありません。
新型コロナウイルスや物価高における影響によって、業況が厳しい事業者に向けて引き続き支援が行われます。
ただし、第10回からについては従来よりも補助額と補助率が変更されます。
補助額(2022年) | 補助額(2023年第10回から) |
・500万円 ・1,000万円 ・1,500万円 ・2,000万円 ・3,000万円 ・4,000万円 | ・1,000万円 ・1,500万円 ・2,000万円 ・3,000万円 |
上記が補助額における変更点となり、下限が1,000万円からとなり、上限は3,000万円までと減額されています。
また、補助率も下記のとおり変更されます。
補助率(2022年通常枠) | 補助率(2023年成長枠) |
・中小:3/4 ・中堅:2/3 | ・中小:2/3 ・中堅:1/2 |
従来までの補助率と比べても引き下げられていますので、ここも少々残念なポイントです。
しかし、回復・再生応援枠・緊急対策枠における要件は、2022年までと比べて緩和されます。従来まで売上減少要件が30%以上であったのに対し、2023年第10回からは10%以上で問題ありません。
これにより、補助額と補助率は引き下げられたものの、要件緩和により申請はしやすくなったと言えるでしょう。
事業再構築補助金には、第10回から新たな枠として「産業構造転換枠」が新設されます。産業構造転換枠について簡単に説明すると、「廃業に伴う一定の要件を満たす場合に最大2,000万円の補助金が受け取れる」というものです。
最近の事例で言うと、今後ガソリン車は衰退していき、電気や水素などが中心になるとされています。
それにより、今までガソリン車の部品を製造していた企業は縮小を余儀なくされることとなりますので、こういったケースで産業構造転換枠が活用されると予想されます。補助率と補助額については、成長枠と同様の内容となっています。
サプライチェーン強靭化枠は、海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靭化および地域産業の活性化に取り組む事業者が対象です。
活用することによって補助額は最大5億円まで受け取ることができ、大幅に支援してもらえる内容となっています。
新枠に伴い、補助額と補助率も新たに設定されていますので、詳しくは下記をご覧ください。
補助額 | 最大5億円まで |
補助率 | ・中小:1/2 ・中堅:1/3 |
事業再構築補助金は、一部の申請枠において2回目の申請も認められるようになります。
具体的にはグリーン成長枠とサプライチェーン強靭化枠の2つについて、下記に当てはまるケースで2回目の申請も可能です。
①:グリーン成長枠以外で一度目の採択を受けた事業者で、再度「グリーン成長枠・産業構造転換枠・サプライチェーン強靭化枠」で申請したい場合
②:グリーン成長枠で一度の採択を既に受けているが、再度「サプライチェーン強靭化枠」で申請したい場合
上記に当てはまる事業者は再度申請することが可能なルールとなりましたので、再度利用したい事業者は検討してみてください。
今回は事業再構築補助金の2023年度第10回から変更になる内容をまとめました。他の補助金と比べても大幅な変更があり、良い点も悪い点も同じくらいあるといった感じです。
しかし、変更された多くの内容で要件は緩和されている印象を受けたので、要件が厳しくて申請ができなかった企業にとってはチャンスでしょう。
第10回からの申請を検討されている事業者の中で、採択されるための事業計画書を策定したいと考えているなら、採択実績の多い補助金オフィスにお任せください。