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事業再構築補助金
事業再構築補助金は、事業転換や業態転換など、思い切った事業再構築を行う企業を支援するための制度です。
補助額の規模も大きく、積極的に活用したいと考えている企業も多いのではないでしょうか。
事業再構築補助金は現在第8回公募が開始されていますが、その都度さまざまな変更点があります。その中でも今後最も大切となってくる「賃上げ」に関して詳しく開設していきます。
賃上げに取り組むことによって採択にどのような影響をもたらすのかについて徹底的に解説していきますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
事業再構築補助金の公式ホームページ:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/
近年では急速に物価高が進み、幅広い部分で値上げの動きが加速しています。そんな状況下にあることから、政府は物価高における対策に力を入れています。
物価高対策についてはいくつかありますが、その中には従業員の賃金アップを目指した取り組みがあり、企業への支援策と組み合わせて最低賃金の引上げを目指そうとしているのです。
企業の支援策とは具体的に補助金などがあげられ、事業再構築補助金においても今後は賃上げに取り組む企業を優先的に支えるようになると言われています。
実際に下村博文政調会長は、日本経済新聞の取材で「すでに実施している事業再構築補助金などの施策に関しては積極的に賃上げに取り組む中小企業などを優先的に支えるよう強調した」と話しています。
実際にそれらの話をされた後の事業再構築補助金は、第3回公募から「最低賃金枠」と「大規模賃金引上げ枠」が創設され、賃金引上げを行う中小企業等が優先的に支援されるようになりました。
これらの背景から、今後は事業再構築補助金において賃上げが重要な項目となってくるため、申請を検討されている事業者は採択されるためにも重視したいポイントとなります。
事業再構築補助金には「最低賃金枠」と「大規模賃金引上枠」の2つが追加され、申請について検討されている事業者も多いでしょう。
後ほど、これら2つの申請枠の要件については詳しく説明しますが、まず大前提として知っておかなければならないのが事業再構築補助金の必須申請要件を満たすことです。
これらを満たしていないと事業再構築補助金へ申請すらできないとなってしまうので、まずは条件に当てはまっているか確認してください。詳しい必須申請要件については下記で詳しく解説します。
事業再構築補助金の申請は、下記3つの要件を満たしている場合のみ対象となります。
① 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高がコロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
② 事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組むこと
③ 補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、従業員一人あたり付加価値額の年率平均3.0%以上増加の達成
上記3つの内容が通常の要件となり、これらを満たしている事業者であり、賃上げの要件を満たしている場合のみ「最低賃金枠」と「大規模賃金引上枠」へ申請することが可能です。
「最低賃金枠」と「大規模賃金引上枠」については、次の見出しから詳しく説明するので参考にしてみてください。
事業再構築補助金において、賃上げに関する申請枠は大きく分けると2つあります。それぞれ内容などが異なりますので、ここでは2つの申請枠について詳しく解説します。
最低賃金枠は、最低賃金の引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な企業に対して支援するための制度です。
事業再構築補助金の最低賃金枠では、通常枠の要件に加えて「2021年10月から2022年8月までの間で、3ヶ月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること」が要件です。
要件を見ても分かる通り、すべての事業者が対象となるわけではありませんが、対象となっている企業では最低賃金枠での申請を検討してみてください。
最低賃金枠の補助額と補助率については、従業員数に応じて変動します。具体的には下記の通りとなっているので参考にしてみてください。
従業員数 | 補助額 | 補助率 |
5人以下 | 100万円〜500万円 | 中小企業:3/4 中堅企業:2/3 |
6人〜20人 | 100万円〜1,000万円 | 中小企業:3/4 中堅企業:2/3 |
21人以上 | 100万円〜1,500万円 | 中小企業:3/4 中堅企業:2/3 |
最低賃金枠で申請して採択されることによって、通常枠などにはないメリットがあります。
まず、通常枠より補助額が少ないけど補助率が引き上げられるメリットがあります。通常枠に関しては補助率が2/3ですが、最低賃金枠では3/4まで引き上げてもらえます。
また、加点措置が行われますので、採択率も優遇されるなど通常枠にはないメリットを得られるのも最低賃金枠の特徴です。
その他にも最低賃金枠は従業員数が5人以下でも申し込むことが可能なので、比較的小規模な企業でも申請しやすくなっています。
大規模賃金引上枠は、多くの従業員を雇用しながら継続的な賃金引上げに取り組む企業であり、従業員を増やして生産性を向上させる取り組みを行う企業に対して支援するための制度です。
大規模賃金引上枠は通常枠とは異なり、すべての公募回の合計で150社限定となっています。
大規模賃金引上枠の要件については、通常枠の要件を満たしていることを大前提とし、下記2つについても満たす必要があります。
① 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3〜5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
② 補助事業実施機関の終了時点を含む事業年度から3〜5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上増員させること
大規模賃金引上枠の補助額と補助率については、下記表の通りとなっておりますので参考にしてみてください。
補助対象者 | 補助額 | 補助率 |
従業員数101人以上の中小企業・中堅企業 | 8,000万円〜1億円 | 中小企業:2/3 中堅企業:1/2 |
大規模賃金引上枠で採択されることで、通常枠よりも補助額が大きいといったメリットがあります。要件などは比較的難易度が高めですが、採択されることで最大1億円の補助金を受け取ることができるのです。
これらのことから条件に当てはまっているという企業は、大規模賃金引上枠の申請についても検討してみてはいかがでしょうか。
事業再構築補助金では、賃上げを行う企業に対して積極的な支援をしてもらえます。しかし、賃上げは一度行ってしまうと下げることが難しくなるため、未来のことも考えながら慎重に行わなくてはなりません。
実際に補助金を受け取りたいだけの目的で賃上げをしてしまうと企業にとって大きな負担となるケースもあるのです。
賃金の引上げは申請枠によっても異なりますが、従業員一人あたりの賃金を引き上げなければならなくなります。つまり、全体で見たときに人件費は大きく増大してしまうのです。
一時的に補助金を受け取れたとしても将来的なことを考えていないとそれがかえって企業の負担になることもありますので、慎重に検討したうえで補助金の申請を行うか考えるようにしましょう。
上述のように、賃金を引き上げることで人件費の負担が大きくなります。人件費の負担が膨らむことによって、新たな従業員採用にコストを割くことが難しくなるのも事実です。
このようなリスクも発生してくるため、リスクなども考えたうえで補助金への申請をするか検討することが大切です。
事業再構築補助金は、他の補助金と比べても申請手続きに手間がかかります。準備しなければならない書類も多いのが特徴です。ここでは申請方法の準備から手続き、補助金受け取りまでの流れを紹介するので参考にしてみてください。
事業再構築補助金では、認定支援機関と事業計画の策定を行わなければなりません。まずは認定支援機関を選定し、事業計画書の作成を進めましょう。
事業再構築補助金の申請は、原則として電子申請のみです。申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必須となりますので、予め準備しておきましょう。
また、アカウント取得から交付までには数日から数週間程度必要になるケースもありますので、時間に余裕を持って取得することをおすすめします。
事業再構築補助金には10枚以上の書類が必要になることがあります。準備しなければならない書類はたくさんあり、時間がかかることもありますので、こちらも時間に余裕を持った準備をおすすめします。
公募受付が開始されたら、電子申請が行えるようになります。必要書類を添付のうえ、電子申請を行ってください。
提出した書類については、事務局により厳正な審査が実施されます。審査後は採択・不採択の結果が事務局から送られてきます。
採択通知が届いた企業に関しては、その後交付申請を行います。採択されてからも必要な手続きはいくつかあるので、採択されたら終了ではなく、その後の手続も事務局からの指示に従って進めてください。
事業計画書の内容に沿って実際に補助事業を実施します。補助事業では対象経費として認められた経費のみを使って進めるようにしましょう。
補助事業が完了したら、確定審査が実施され、事業者が適切に補助金を支出したことを確認したら無事に指定口座へ振り込まれます。
補助金振り込み完了後も、5年間は事業計画のフォローアップが行われ、定期的に経営状況等の報告を行わなければなりません。フォローアップも忘れずに行うようにしましょう。
今回は事業再構築補助金の賃上げの部分について詳しく紹介しました。事業再構築補助金は賃上げを積極的に行う企業に対して優先的に支援を行っている印象を受けますので、要件などに当てはまる企業は「最低賃金枠」や「大規模賃金引上枠」の活用についても検討してみてください。
補助金オフィスでは、補助金申請のサポートを行なっています。補助金の申請に関して何かお困りのことがあれば、こちらからお気軽にお問い合わせください。