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【第7回】事業再構築補助金の「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」について

事業再構築補助金

世界では新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢などにより、原油価格や物価高騰等が発生しています。

これにより、日本では多くの中小企業の経営状況が厳しくなっているなど、幅広く影響を受けています。

原油価格や物価高騰等の影響を少しでも和らげるために、政府は事業再構築補助金において「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」を新設しました。

新たに設けられた枠になりますので、今回の記事では「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」とはどういった内容となっているのか、具体的に活用されている例についてもご紹介します。

事業再構築補助金とは

そもそも事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスの影響によって経営状況が厳しい中小企業や個人事業主、企業組合等を支援するための補助金です。

活用することで新分野への展開や業態転換など、思い切った事業再構築をしやすくなるといったメリットがあります。

主要申請要件について

事業再構築補助金の申請を行うにあたって、主要要件となっているのは大きく分けると下記の3点です。

  • 1.売り上げが減少している
  • 2.新分野展開・業態転換など事業再構築に取り組む事業者
  • 3.認定支援機関と事業計画書を策定する

主に上記の3点が主要要件となっており、申請を行うにあたっては要件を満たしていることが条件になります。

事業再構築補助金の「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」とは?

「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」とは、事業再構築補助金の6枠目として新たに創設された制度です。

新型コロナウイルスや原油価格高騰、物価高騰によって経営状況が厳しくなっている中小企業を支援する目的として創設されました。

ここからは「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」での申請を検討されている事業者向けに、緊急対策枠の要件など具体的に紹介していきます。

申請要件

緊急対策枠の一つである「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」は、4つの要件で構成されています。それでは詳しく見ていきましょう。

①事業再構築要件

事業再構築要件は、事業再構築指針に示されている「事業再構築」の定義に該当する事業者であることが条件です。

緊急対策要件

緊急対策要件は、原油価格や物価高騰等の影響により、2022年1月移行の売上高か付加価値額が2019年〜2021年同月と比較して10%、付加価値の場合は15%以上減少していることが条件です。また、コロナによる影響を受けている事業者も対象ですが、この場合は電子申請時にコロナによる影響を受けていることを証明することが必要になります。

③認定支援機関要件

「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」に限らずですが、申請を行うにあたって事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する必要があります。また、補助額によっても異なり、例えば3,000万円を超える案件については、認定経営革新等支援機関と金融機関も加えて策定することが条件です。ただし、認定経営革新等支援機関が金融機関であれば必要ありません。

④付加価値額要件

付加価値額要件は、補助事業終了後の3年〜5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員一人あたり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定しなければなりません。

上記4点が申請要件となりますので、申請前にはしっかりと確認をしておきましょう。

補助額と補助率について

緊急対策枠については、従業員規模によって最大4,000万円まで、補助率は3/4で支援してもらえます。

具体的に従業員規模に応じて補助額がどのように決められているのか紹介します。下記の表をご覧ください。

従業員数補助額補助率
5人以下100〜1,000万円
中小企業:3/4中堅企業:2/3
6〜20人以下100〜2,000万円
21人〜50人100〜3,000万円
51人以上100〜4,000万円

審査項目(第7回)

今回から申請が開始されている第7回の事業再構築補助金ですが、第6回とは異なり審査項目がいくつか変更されました。

審査項目は緊急対策枠に限らず変更されているので、第7回からの申請を検討している方は必ず確認しておきましょう。

具体的に変更される点は下記の2点です。

第6回公募まで第7回公募から
これまで行ってきた事業における売り上げ減少が見られるなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害を受けており、事業再構築を行う必要性が高いかどうかこれまで行ってきた事業における売り上げが減少しており、新型コロナウイルスや原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響で深刻な被害を受けており、事業再構築を行う必要性があるかどうか
第7回公募から追加された審査項目補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業であるか

上記の変更点は、第7回から変更されるものと第7回から追加される項目があります。大きく分けると2つの変更点のみとなっており、その他の審査項目については第6回から変更はありません。

公募期間

ここでは第7回の事業再構築補助金においての公募期間について紹介します。具体的には下記のとおりのスケジュールで調整がされているので、申請を検討されている方は締め切りに間に合わないとならないように確認しておきましょう。

公募開始:令和4年7月1日(金曜日)

申請受付:調整中

応募締切:令和4年9月30日(金曜日)18:00まで

申請方法

事業再構築補助金の申請は、電子申請システムのみで受け付けています。そのため、申請を検討されている方は事前に電子申請システム操作マニュアルを確認しておきましょう。

また、入力情報については必ず申請者がその内容を理解し、確認したうえで申請する必要があります。

そのほか注意事項としては、電子申請を行うにあたってGビズIDプライムのアカウントが必要です。今回初めて申請を行うケースでは未取得の方もいるかと思いますので、事前に利用登録を行ってください。

GビズIDプライムのアカウントは採択後の手続きにおいても必要になりますし、取得にはある程度の時間も必要になるため、早めに登録を済ませておくことをおすすめします。

事業再構築補助金「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」の活用例

新枠の「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」について、具体的にどういったケースで補助金を活用できるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

基本的に原油価格や物価高騰等の経済環境の悪化の影響を受けている事業者であれば申請することができますが、具体例を知りたい方のためにここでは3つの例に分けて紹介していきます。

あくまでも一例となりますが、どのように事業再構築補助金の「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」を活用しているのか知りたい方は参考にしてみてください。

ケース1:資源高による影響を受けた事業者

フライ菓子などの製造販売を行っている事業者の事例です。コロナにより、実店舗への客足が減少しているのに加え、ウクライナ情勢などにより小麦粉や油などの価格も高騰してしまい、売り上げや利益率が減少。

この状況では今後も売り上げアップの見込みがないと判断し、事業再構築補助金を活用して新たにドライフルーツの製品を製造する機器を導入。これなら原油価格や物価高騰の影響を受けることがないため、大きな被害から脱却することができた。

ケース2:直接的・間接的な輸出入の影響を受けた事業者

明太子を製造・販売する事業者の活用事例です。コロナの影響により、飲食店向けの販売量が減少。それに加えて原料であるタラの卵はロシア産を多く締めており、製造量を縮小せざるを得なくなり、売り上げが減少していく一方。

これでは悪化していく一方だと思い、既存の加工技術を活かしてねり天ぷらや出汁など国内産の水産物を用いた新たな製品を製造する工場を新設。国内であれば影響を受ける体制から脱却することができ、輸出入の必要もなくなった。また、それに加えて販売経路もEC販売にすることにより、コロナ禍による時代でも影響を受けにくい事業へと切り替えることができた。

ケース3:海外送金や現地駐在などの諸問題による影響を受けた事業者

機械部品の商社による事例です。コロナの影響により海外から機械部品の調達に多く時間を要してしまう。それに加えてロシア企業との取引もあり、現在では金融取引の制約によってロシアからの送金が止まっており、ロシア企業から代金を回収できない状況となっている。送金されなければコンテナを引き渡すことができないため、売り上げの状況の目処が立たない状況が続いている。

こうした状況から脱却するため、機械商社のノウハウを活かし、機械部品専用の倉庫業を行うためのシステムを構築。サービスの提供にあたっては非対面式で営業活動を徹底するとともに、取扱い商材のラインナップを大幅に増やし、顧客層を拡大することでリスク分散を進めることができるなど、感染症の機器の影響を最小限に抑えられるよう工夫しつつ、ロシア企業との取引に依存しない収入源の確保に取り組む。

まとめ

今回は事業再構築補助金の「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」について紹介しました。特にここ最近では新型コロナウイルスやウクライナ情勢により、日本企業にも多くの被害が広がってきています。

このような状況でも諦めることはなく、「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」を活用することで自社の負担を減らした状態で大胆な施策を実行することが可能です。

特に事業転換などになりますと大幅な費用が必要になりますので、要件に当てはまるといった企業は事業再構築補助金の活用について検討してみましょう。

弊社は、認定経営革新等支援機関であり、事業計画の策定から申請サポートまでトータルで実施しています。事業再構築補助金をはじめ、ものづくり補助金など採択実績がございますので、申請にあたって認定経営革新等支援機関をお探しの方は補助金オフィスまでお気軽にお問い合わせください。