TOP
コラム一覧
コラム詳細
事業再構築補助金
世界では新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢などにより、原油価格や物価高騰等が発生しています。
これにより、日本では多くの中小企業の経営状況が厳しくなっているなど、幅広く影響を受けています。
原油価格や物価高騰等の影響を少しでも和らげるために、政府は2022年の第7回公募から、事業再構築補助金に「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」を新設しました。
ただし、事業再構築補助金の公募は第13回(2025年3月26日締切)を最後に終了しており、2026年9月時点で新たに申請することはできません。今回の記事では、第7回公募時点の「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」の内容と活用例を振り返り、後半で後継の新制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」を紹介します。
そもそも事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスの影響によって経営状況が厳しい中小企業や個人事業主、企業組合等を支援するために創設された補助金です。公募は第13回で終了しています。
活用することで新分野への展開や業態転換など、思い切った事業再構築をしやすくなるといったメリットがありました。
第7回公募時点で、事業再構築補助金の主要要件は大きく分けると下記の3点でした。
主に上記の3点が主要要件となっており、申請を行うにあたっては要件を満たしていることが条件でした。
「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」とは、事業再構築補助金の6枠目として第7回公募で新たに創設された申請枠です。
新型コロナウイルスや原油価格高騰、物価高騰によって経営状況が厳しくなっている中小企業を支援する目的として創設されました。
ここからは、第7回公募時点の緊急対策枠の要件などを具体的に紹介していきます。
緊急対策枠の一つである「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」は、4つの要件で構成されていました。それでは詳しく見ていきましょう。
事業再構築要件は、事業再構築指針に示されている「事業再構築」の定義に該当する事業者であることが条件です。
緊急対策要件は、原油価格や物価高騰等の影響により、2022年1月以降の売上高か付加価値額が2019年〜2021年同月と比較して10%、付加価値の場合は15%以上減少していることが条件です。また、コロナによる影響を受けている事業者も対象ですが、この場合は電子申請時にコロナによる影響を受けていることを証明することが必要になります。
「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」に限らずですが、申請を行うにあたって事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する必要があります。また、補助額によっても異なり、例えば3,000万円を超える案件については、認定経営革新等支援機関と金融機関も加えて策定することが条件です。ただし、認定経営革新等支援機関が金融機関であれば必要ありません。
付加価値額要件は、補助事業終了後の3年〜5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員一人あたり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定しなければなりません。
上記4点が第7回公募時点の申請要件でした。
緊急対策枠については、従業員規模によって最大4,000万円まで、中小企業の補助率は3/4(中堅企業は2/3)でした。
従業員規模に応じた補助額は、下記の表のとおりです。
| 従業員数 | 補助額 | 補助率 |
| 5人以下 | 100〜1,000万円 | 中小企業:3/4中堅企業:2/3 |
| 6〜20人以下 | 100〜2,000万円 | |
| 21人〜50人 | 100〜3,000万円 | |
| 51人以上 | 100〜4,000万円 |
第7回の事業再構築補助金では、第6回とは異なり審査項目がいくつか変更されました。
審査項目は緊急対策枠に限らず変更されていました。
具体的に変更された点は下記の2点です。
| 第6回公募まで | 第7回公募から |
| これまで行ってきた事業における売り上げ減少が見られるなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害を受けており、事業再構築を行う必要性が高いかどうか | これまで行ってきた事業における売り上げが減少しており、新型コロナウイルスや原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響で深刻な被害を受けており、事業再構築を行う必要性があるかどうか |
| 第7回公募から追加された審査項目 | 補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業であるか |
上記の変更点は、第7回から変更されたものと第7回から追加された項目があります。大きく分けると2つの変更点のみとなっており、その他の審査項目については第6回から変更はありません。
参考として、第7回の事業再構築補助金の公募期間は下記のとおりでした。その後も公募は続き、第13回(2025年3月26日締切、応募3,100者・採択1,101者)が最終回となりました。
公募開始:令和4年7月1日(金曜日)
申請受付:調整中
応募締切:令和4年9月30日(金曜日)18:00まで
事業再構築補助金の申請は、電子申請システムのみで受け付けていました。後継の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金も電子申請で、申請にはGビズIDプライムのアカウントが必要です。
また、入力情報については必ず申請者がその内容を理解し、確認したうえで申請する必要があります。
GビズIDプライムのアカウントを未取得の方は、事前に利用登録を行ってください。
GビズIDプライムのアカウントは採択後の手続きにおいても必要になりますし、取得にはある程度の時間も必要になるため、早めに登録を済ませておくことをおすすめします。
「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」は、具体的にどういったケースで活用されたのでしょうか。
原油価格や物価高騰等の経済環境の悪化の影響を受けている事業者が対象でした。ここでは3つの例に分けて紹介していきます。
あくまでも一例ですが、新しい事業の計画を立てる際の参考にしてみてください。
フライ菓子などの製造販売を行っている事業者の事例です。コロナにより、実店舗への客足が減少しているのに加え、ウクライナ情勢などにより小麦粉や油などの価格も高騰してしまい、売り上げや利益率が減少。
この状況では今後も売り上げアップの見込みがないと判断し、事業再構築補助金を活用して新たにドライフルーツの製品を製造する機器を導入。これなら原油価格や物価高騰の影響を受けることがないため、大きな被害から脱却することができた。
明太子を製造・販売する事業者の活用事例です。コロナの影響により、飲食店向けの販売量が減少。それに加えて原料であるタラの卵はロシア産を多く締めており、製造量を縮小せざるを得なくなり、売り上げが減少していく一方。
これでは悪化していく一方だと思い、既存の加工技術を活かしてねり天ぷらや出汁など国内産の水産物を用いた新たな製品を製造する工場を新設。国内であれば影響を受ける体制から脱却することができ、輸出入の必要もなくなった。また、それに加えて販売経路もEC販売にすることにより、コロナ禍による時代でも影響を受けにくい事業へと切り替えることができた。
機械部品の商社による事例です。コロナの影響により海外から機械部品の調達に多く時間を要してしまう。それに加えてロシア企業との取引もあり、現在では金融取引の制約によってロシアからの送金が止まっており、ロシア企業から代金を回収できない状況となっている。送金されなければコンテナを引き渡すことができないため、売り上げの状況の目処が立たない状況が続いている。
こうした状況から脱却するため、機械商社のノウハウを活かし、機械部品専用の倉庫業を行うためのシステムを構築。サービスの提供にあたっては非対面式で営業活動を徹底するとともに、取扱い商材のラインナップを大幅に増やし、顧客層を拡大することでリスク分散を進めることができるなど、感染症の機器の影響を最小限に抑えられるよう工夫しつつ、ロシア企業との取引に依存しない収入源の確保に取り組む。
事業再構築補助金の公募終了後、新分野展開を支援する制度として2025年に「中小企業新事業進出補助金」が始まりました。この補助金も第4回(2026年6月19日締切)で公募を終えており、新規の受付は後継の新制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」(略称:新もの補助)に移っています。
新もの補助は中小企業基盤整備機構が実施する補助金で、2026年6月29日に第1回公募が始まりました。旧制度と同じ補助金ではなく、要件や補助額が異なる新しい制度なので、申請前に公募要領を確認しましょう。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年6月29日 |
| 申請受付開始 | 2026年9月30日 |
| 応募締切 | 2026年10月30日 18:00 |
| 採択発表 | 2027年1月(予定) |
※申請受付開始と応募締切は、当初の予定(受付8月31日開始・締切9月30日)から変更されています。
新もの補助には3つの申請枠があります。事業再構築補助金のように新しい市場・事業へ進出する計画には、主に「新事業進出枠」が当てはまります。
| 枠 | 補助上限額(従業員数別。カッコ内は賃上げ特例適用時) | 補助率 |
|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 1〜5人:750万円(850万円) 6〜20人:1,000万円(1,250万円) 21〜50人:1,500万円(2,500万円) 51人以上:2,500万円(3,500万円) | 中小企業者1/2(最低賃金引上げ特例で2/3) 小規模企業・小規模事業者・再生事業者2/3 |
| 新事業進出枠 | 1〜20人:2,500万円(3,000万円) 21〜50人:4,000万円(5,000万円) 51〜100人:5,500万円(7,000万円) 101人以上:7,000万円(9,000万円) | 1/2(最低賃金引上げ特例で2/3) |
| グローバル枠 | 新事業進出枠と同額 | 2/3 |
補助下限額は、革新的新製品・サービス枠が100万円、新事業進出枠とグローバル枠が750万円です。新事業進出枠とグローバル枠では、機械装置・システム構築費に加えて建物費も補助対象になります。
事業計画期間(3〜5年)で、主に次の要件を満たす計画を立てる必要があります。
① 付加価値額の年平均成長率を+4.0%以上にすること
② 1人当たり給与支給総額の年平均成長率を+3.5%以上にすること(未達の場合は返還あり)
③ 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にすること
④ 一般事業主行動計画を公表すること
このほか、子育て等に関する職場環境整備の取り組みなどの要件もあります。詳しくは新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公式サイト(https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/)で公募要領を確認してください。
※本記事の制度情報は2026年9月時点の公式情報に基づいています。最新の公募要領は各公式サイトでご確認ください。
今回は事業再構築補助金の「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」について紹介しました。この枠は、新型コロナウイルスやウクライナ情勢による原油価格・物価高騰の影響を受けた事業者を支援するために設けられました。
事業再構築補助金の公募は第13回で終了しており、現在はこの枠で申請することはできません。
事業転換などには大幅な費用が必要になるため、これから新しい事業に取り組む企業は、後継の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」(第1回の応募締切は2026年10月30日18:00)の活用を検討してみましょう。
弊社は、認定経営革新等支援機関であり、事業計画の策定から申請サポートまでトータルで実施しています。事業再構築補助金をはじめ、ものづくり補助金など採択実績がございますので、申請にあたって認定経営革新等支援機関をお探しの方は補助金オフィスまでお気軽にお問い合わせください。